オーバーシュート

オーバーシュートとは、感染症の分野では、ある地域において感染者が爆発的に増加すること、あるいはその状態を指す語である。爆発的患者急増、感染爆発ともいう。欧米諸国ではoutbreak(アウトブレイク)と表現している。ちなみに英語のovershootは、「飛び越える」「行き過ぎる」といった意味を持つ動詞である。「飛行機が滑走路を行き過ぎる(オーバーシュートする)」「列車がプラットフォームを行き過ぎる(オーバーシュートする)」といった場面で使われる。よって、感染症の分野におけるオーバーシュートの語は日本国内では通じるが、欧米諸国では通じない。

オーバーシュート発生の大きな原因は、無症状の感染者や軽度の感染者が通常の生活を送ることで、知らない間に不特定多数の人へ感染させてしまう点にある。不要不急の外出を控え、他人と接触しないことがオーバーシュートの対策法として考えられる。また、国や自治体によるロックダウン(英:lockdown、都市閉鎖)によってオーバーシュートを防ぐことができる。

オーバーシュートの状況に陥ると、十分な診察が行えなくなったり、病床数が不足したりして医療崩壊が発生する。軽症で済んでいたはずの患者が重症化してしまうこともある。

オーバーシュートと同様に、感染症の分野でよく使われる用語に「クラスター感染」「パンデミック」などがある。

クラスター感染(英:infection cluster)は、すでに感染症を発症している患者が、屋内の閉鎖された空間において複数の人と一定時間以上交わり(濃厚接触して)感染させ、新たな患者の集団(クラスター)をつくってしまうことである。クラスター感染は感染源が特定できるが、オーバーシュートの場合は感染源の特定が困難とされる。

パンデミック(英:pandemic)は、ある感染症について世界的に拡大し大流行すること、あるいはその状態を指す語である。スペインかぜ(1918年)や豚インフルエンザ(2009年)などがパンデミックとして知られている。2019年11月に中国武漢市で症例が確認されたCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)もパンデミックである。

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